高品質スクリーン印刷を支えるアサダメッシュ |
スクリーン印刷は、エレクトロニクス分野での電子回路、電子部品などの「プリントデバイス」の製造技術として広く利用されてきました。今後は、フレキシブルなフィルム基板上に有機トランジスタをも含めて印刷する「プリンタブルエレクトロニクス」製品の製造にも高品質スクリーン印刷の利用が期待されています。 アサダメッシュは、金属メッシュ製造のリーディングカンパニーとして「プリントデバイス」と「プリンタブルエレクトロニクス」製造の為の高品質スクリーン印刷を支えます。スクリーン印刷には、エレクトロニクス製造の印刷技術としての以下のような特長があります。 |
1. | 設備コストが廉価 スクリーン印刷機は、基板と刷版を平行にセットし、スキージを移動させるシンプルな装置です。 |
2. | 製版コストが廉価 オフセット印刷やグラビア印刷などの一般印刷に比較すると、製版コストが非常に廉価で、感光性乳剤を塗布したPS版を保管していれば、簡便な設備で短時間で製版が可能です。 |
3. | 印刷速度が適正(後工程との連動) 輪転機を使用する一般印刷に比べて、100分の1以下の印刷速度であるとして生産性が低いとも 指摘されますが、エレクトロニクスの製造工程においては熱処理、後加工などと比較しても、十分な速度であり適正なスループットであると言えます。 |
4. |
成膜、パターンニング、積層、ビア埋めなど多くの工法に適用可能(下表参照) スクリーン版、スキージ形状を変えるだけで、回路形成、実装技術、MEMS工程に利用できます。また、低印圧であるため積層印刷などの三次元構造の印刷が得意です。 |
5. |
インク、ペーストの材料の選択肢が広い コストの高いナノ金属粒子を使用しないでもサブミクロン粒子でファイン印刷ができます。非常に幅広い材料のペーストが使用できます。 |
6. |
「手で50ミクロンラインが刷れる」ほど、工程能力が高い スクリーン版、ペーストの適正化で、手でも50ミクロンラインが印刷できるほど簡単で、量産においても非常に安定性が高く、歩留まりが高いプロセスです。 |
7. |
メッシュ材料、製版の技術進歩で印刷品質がさらに向上 最近5年間でのスクリーン印刷の品質は、メッシュ材料および製版技術の向上で飛躍的に進歩してきました。 |
アサダメッシュは、高品質の金属メッシュスクリーンの開発、製造とともに、エレクトロニクス分野における高品質スクリーン印刷のさらなる普及のための「基本と標準」などの正しい技術情報を広く提供すべく研究、開発を続けます。 |
印刷をするならスクリーン印刷から始めてください。そしてさらに高品質スクリーン印刷を。 |
(表)
工 法 | 内 容 | 応用分野の例 |
成膜(ベタ印刷) | 均一な膜厚形成 | PDP誘電体、レジスト厚塗りなど |
パターニング | 乳剤でのパターン形成 | LTCC電極、PDP電極など |
スルーホール印刷 | 印刷 + 吸引ブロー | ハイブリッドIC、プリント基板 |
ビアフィル印刷 | 高粘度ペースト充填 | 有機基板、LTCC |
バンプ印刷 | 微小ドット形成 | クリームはんだ、ドットスペーサ |
落とし込み印刷 | 溝部への充填 | PDP蛍光体など |
積層印刷 | 印刷/乾燥の繰り返し | PDP隔壁、ボンディングダムなど |
転写印刷 | 突起部だけの塗布 | パッケージシール剤塗布など |
高品質スクリーン印刷の「基本と標準」 スクリーン印刷は、高品質のスクリーンメッシュと製版、そして適正なペーストがあれば手でも50ミクロンラインが刷れるほど工程能力が高いプロセス技術です。 なお、弊社の高品質スクリーン印刷の基本の実践と標準の検証には、㈱エスピーソリューション代表取締役 佐野康氏の全面的な協力を得て、著書「高品質スクリーン印刷ガイド」(万能出版)の内容を参考にして行いました。
今回、弊社研究設備を利用して以下の印刷実験を行い著書に示してある「印刷の標準」について検証した結果をご紹介します。
① スキージ印圧と印刷膜厚の関係 ② スクリーンメッシュと印刷膜厚の関係 ③ ライン幅と印刷膜厚の関係
実際のスクリーン印刷の現場では、これらの「印刷の標準」を原理とともに正しく理解して、受け入れることで、プロセスの均一性、安定性を第一に考えて適正化を行うことが必要です。 |
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スキージ印圧と印刷膜厚の関係 |
ワイドパターン印刷において、スキージ印圧と印刷膜厚の関係、併せて膜厚の均一性を測定しました。適正なスキージ印圧とは、膜厚のばらつきが小さくなり膜厚が安定する値であると言えます。 スクリーン印刷での膜厚の面内ばらつきは、適正な印刷条件であれば、±5%以内です。 |
諸条件 |
印刷装置 |
;マイクロテック社 MT320T |
スキージ | ;バンドーUタイプ平スキージ |
スクリーン版 |
;BS250メッシュ 乳剤厚15μm |
ペースト | ;奥野製薬工業のPDP用背面誘電体ペースト |
膜厚測定 |
;スクリーン版用接触型膜厚計 |
基 板 | ;100mm×100mm 面内9点測定 |
ダウンストップ方式 スキージの押し込み量(ダウンストップ)を最小にし、スクリーン版と基板が僅かに接触して全体が印刷できる点を、「ダウンストップ0.1mm」と設定。0.1mm単位で印圧を増し、印刷膜厚を測定。 垂直フロート方式 上向きの圧力(背圧)を0.10Mpaで固定し、印圧を低くして、全体が印刷できる最小の印圧が0.14Mpaであった。印圧を0.01Mpaづつ増し、印刷膜厚を測定した。 *ダウンストップ式も垂直フロート式も同じスキージを使用すれば、適正印圧での *「低印圧印刷」とは、「印圧が低いほどいい」のではなく、「過剰な印圧は不可」と |
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スクリーンメッシュと印刷膜厚の関係 |
ベタパターンのスクリーン印刷での印刷膜厚は、スクリーン版のメッシュ厚と開口率の積(吐出量)に比例して変化すると考えられています。適正なスキージ印圧での標準的な印刷条件で印刷した場合のメッシュ仕様と印刷膜厚の相関を検証しました。 |
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条件:印刷装置;マイクロテック社 MT320T 膜厚測定;スクリーン版用 |
同一メッシュ厚み別印刷膜厚の相関
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3D-250 | BS-250 | BS-250CL |
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条件: 同上 |
スクリーン印刷では、印刷膜厚をスクリーンメッシュ仕様で変更する事が最も簡単で、安定します。 |
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ライン幅と印刷膜厚の関係
スクリーン印刷では、ライン幅が細くなると印刷膜厚が薄くなります。 |
50μm、90μmライン幅の印刷形状。ライン幅が小さいと 膜厚も薄くなります。 | ![]() |
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75μm、150μmライン幅の印刷後スクリーン版乳剤開口部での ペーストの残り状態。150μmでは、メッシュ開口部のペーストが抜けていますが、75μ ラインでは基板に印刷されなかったペーストがメッシュ開口部全体にも均一に残っています。 | ![]() |
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ファインライン印刷では、ペーストはメッシュ開口部全体に残り、乳剤開口部の下側の部分だけが印刷されます。この原理のためスクリーン印刷では、メッシュピッチよりも細いファインラインが印刷できるのです。 |
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世界最高精細・最薄スクリーンメッシュ 「MS840-CL11」 |
当社は、1984年の平織り500メッシュスクリーンを始めとして、常に世界に先駆け、 590メッシュ、 640メッシュなど最先端、最高精細のステンレスメッシュを開発、供給を続けてきました。2006年には、11ミクロン線径、840平織りメッシュを開発し、この度導入した超高圧カレンダー装置により驚異の11ミクロンのスクリーン厚を達成しました。 スクリーン印刷での印刷膜厚は、メッシュの厚みと開口率の積である「吐出量」にほぼ比例します。「MS840-CL11」は、吐出量が約5.0μであり、現在MLCC(積層チップコンデンサー)製造で広く使用されている500メッシュカレンダーメッシュと比較して50~40%の薄い膜厚で印刷できます。スクリーン印刷で「サブミクロン」の膜厚が実現できる時代になりました。 |
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MS840-CL11 メッシュ数 : 840メッシュ 線 径 : 11ミクロン 目開き : 19ミクロン 空間率 : 40% 紗 厚 : 11ミクロン(カレンダー) |
他の高メッシュ品との比較写真 |
840メッシュ CL11 線径11ミクロン |
640メッシュ CL18 線径15ミクロン |
500メッシュ CL19 線径19ミクロン |
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仕 様 |
製品コード |
メッシュ数
(本) |
線 径 (mm) |
目開き (mm) |
空間率 (%) |
厚 み (mm) |
(厚) |
カレンダー厚 |
(薄) |
(mm) | ||||||||
MS - 840/40 | 840 | 0.011 | 0.019 | 40 | 21 - 25 | 17 - 19 | 10 - 12 | |
MS - 640/39 | 640 | 0.015 | 0.025 | 39 | 32 - 38 | 20 - 22 | 17 - 19 | |
BS - 500/19 | 500 | 0.019 | 0.032 | 39 | 39 - 43 | 34 - 38 | 24 - 26 | 18 - 20 |
※上記は当社製品の一部です |
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30ミクロンファインライン印刷用スクリーンメッシュ「MS640/39-CL18/BLK」 |
スクリーンメッシュの強度は、線径とメッシュ数そして線材の強度に比例します。 高メッシュスクリーンほど線径が小さくなるため、メッシュ数が増えてもスクリーン強度は低下します。 「MS-640/39BLK]は、1500N/mmの高強度のステンレスワイヤを使用し、細い線径でもスクリーン強度の低下を抑制し、印刷寸法精度と耐刷性を高めました。さらに圧延(カレンダー)加工されたメッシュ表面に黒化処理を施し、露光時の乳剤の解像性が向上し、印刷解像改善に寄与します。ファインパターン印刷では、ファインラインとワイドラインの共存、異なる方向のラインをにじみやかすれなく印刷する必要があります。高いメッシュのスクリーン版ほど安定した印刷が可能です。30ミクロンレベルのファインライン印刷では、印刷解像性と寸法精度の両立が不可欠です。 |
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MS640/39-CL18/BLK メッシュ数 : メッシュ |
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*他のメッシュ仕様でも黒化処理が可能です。 *皮膜からの有害物質の溶出はありません。 ![]() |
仕 様 |
製品コード |
メッシュ数
(本) |
線 径 (mm) |
目開き (mm) |
空間率 (%) |
厚 み (mm) |
(厚) |
カレンダー厚 |
(薄) |
(mm) | ||||||||
MS - 840/40 | 840 | 0.011 | 0.019 | 40 | 21 - 25 | 17 - 19 | 10 - 12 | |
MS - 640/39 | 640 | 0.015 | 0.025 | 39 | 32 - 38 | 20 - 22 | 17 - 19 | |
BS - 500/19 | 500 | 0.019 | 0.032 | 39 | 39 - 43 | 34 - 38 | 24 - 26 | 18 - 20 |
※上記は当社製品の一部です |
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極厚立体構造メッシュ「Solid Mesh」 |
直交する高強度線材と柔軟な線材との組み合わせで、線径の4倍のメッシュ厚みを実現しました。 olid Mesh 325メッシュは、線径28ミクロン、紗厚111ミクロンで従来の平織りスクリーンメッシュの2倍の印刷厚みを得る事が出来ます。 ベタ印刷時のレベリングは、印刷膜厚が厚いほど進行しやすくなりますので、同一線径でも紗厚が厚いSolid Mesh を使用することにより、同じペーストでも平坦性が格段に向上します。 また、スクリーンの強度が高い為、大きなクリアランスで印刷することが可能です。 |
【立体織り構造】 |
Solid Mesh - 325 線 径:28ミクロン 目開き:50ミクロン 空間率:41.2% メッシュ数:325 メッシュ 計算吐出厚:46ミクロン |
【メッシュ断面図】 |
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Solid Mesh は、直交する線材の強度が非常強度 (N/5cm)に強いため、紗貼り後のスクリーンメッシュの強度も非常に強く、印刷時のクリアランスもヨコ糸方向…598N/5cm / 1.7% 大きくとることが出来ます。 |
【メッシュ引張り試験結果 強伸度比較】 |
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超高強度「無変形」スクリーンメッシュ「HS500-CL35」 |
従来のステンレス線材のの3倍の強度である3000N/mm 超高強度19ミクロン線材を500メッシュで製網しました。メッシュ開口率は、従来の平織りメッシュと同じ39%でファインパターン印刷用に最適です。さらにカレンダー加工によりメッシュの織り構造を安定化させています。「HS500-CL35」は、通常の2.5倍のクリアランスで印刷しても印刷画像はイビツに変形する事はなく、印刷後は元の寸法に戻る「無変形」スクリーンメッシュです。スクリーン印刷の長年の課題であった、スクリーン版の塑性変形の問題を解決するメッシュが誕生しました。 |
【HS500-CL35 印刷寸法テスト】 |

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≪印刷条件≫ クリアランスを変え100回印刷後の 印刷物の寸法を測定 100ショット :クリアランス2.0mm 200ショット :クリアランス2.5mm 400ショット:クリアランス3.5mm ≪枠サイズ≫ 550mm角コンビ版 |
「HS500-CL35」は、高い粘弾性で版離れ性が悪い超ファインパターン用のペーストを大きなクリアランスで印刷でき「無変形スクリーンメッシュは、標準クリアランスの2.5倍のクリアランス値で印刷した後も塑性変形がなく、基の寸法に戻るスクリーンメッシュです。印刷画像はクリアランス値に応じてリニアに変形しますので、予めCADデータ上で補正を入れることが出来ます。 |
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展示サンプル説明 |
銀ペースト60/60ミクロンQFPパターン PETフィルムに受容層がコーティングされた基板にファインパターン用銀ペーストを標準的な印刷条件で印刷しました。内側のパッドのライン幅は60ミクロン、スペースも60ミクロンです。(設計ミスでファンアウトの端部ではスペースが30ミクロンになっています。パターン部と中央のネーム部は別々に印刷しました)銀ペーストは、藤倉化成製FA451で乾燥条件120℃ 20分。320×320mmのサイズで印刷し、16分割し、本展示会で約500枚をサンプルとして配布しました。 |
スクリーン版仕様 枠 950mm×950mm |
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60μm幅ハニカム隔壁10層積層印刷 |
スクリーン版仕様 枠 320 × 320 mm |
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スクリーンメッシュ開口率と印刷解像性の関係 (41% vs. 63% ) |
ステンレスメッシュは、通常40%前後の開口率で製網されていますが、実際には同じメッシュ数でも大小様々な線径の品種が存在するため、製品により開口率も多様です。 |
スクリーン版仕様 | 枠320mm×320mm 乳剤厚15μm | 印刷条件 アサダメッシュ(株) 標準条件 |
メッシュ |
① BS325/28 / 開口率41% ② HS325/16 / 開口率63% |
スキージ角度 70度 スキージ印圧 0.25 Mpa |
ライン幅 |
50μm | クリアランス 0.9 mm |
ペースト |
PDP用銀ペースト ナミックス・・・粘度400dPa.s | スキージ速度 60 mm / sec |
基 板 |
ソーダライムガラス | |
スキージ |
平スキージ 硬度70度 | |
検証方法 同一の印刷条件で3回のダミー印刷後、10回連続印刷を行い、1枚目と10枚目の印刷形状を比較した |
BS325メッシュ 28μ線径 |
開口率 : 41% | HS325メッシュ 16μ線径 |
開口率 : 63% | |
版 S E M 画 像 |
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![]() | ||
50 μ タ テ |
1回目 | 10回目 | 1回目 | 10回目 |
![]() ライン幅 : 51ミクロン |
![]() ライン幅 :58ミクロン |
![]() ライン幅 :79ミクロン |
![]() ライン幅 :80ミクロン | |
50 μ ヨ コ |
1回目 | 10回目 | 1回目 | 10回目 |
![]() ライン幅 :55ミクロン |
![]() ライン幅 :59ミクロン |
![]() ライン幅 :80ミクロン |
![]() ライン幅 :84ミクロン |
スクリーンメッシュの役割の一つに「ペーストの吐出を抑制する」というものがあります。今回の検証では、400dPa.sという粘度の高いペーストで印刷したにも関わらず、開口率の高いHS325メッシュを50μのライン印刷に使用すると、ダレが大きく、解像性も良くないという結果となりました。
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